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Barrelの収録文献が平成22年4月6日に3500件を超えました!
3500件目の文献は,一般教育系の 八木宏樹先生 による, 八木宏樹 (2002) ゴミのゆくえとビジネス : 「ゴミは資源」というデンマークのあり方. 北方圏, 118: 42-45でした。
八木先生にお話を伺いました。
Q:登録3500件目の論文「ゴミのゆくえとビジネス : 「ゴミは資源」というデンマークのあり方」は、どのような内容ですか?
2001年に環境問題の先進地域であるデンマークのオーデンセを訪問しました。そこでのエネルギーに対する取り組みやこれからの方向性、北海道や小樽で参考になることはないか、ということを取りまとめたのがこの報告書です。特にエネルギーについてはデンマークで盛んな風力発電を風景の似ている北海道でも導入していこう、経済界が率先して指針を見せていけばスムーズにいくのではないかと考えました。 デンマークでは風力発電、産業廃棄物の有効利用、都市部でのエネルギーの有効利用という点で,行政と企業がうまく協力体制をとっています。具体的には酪農家で発生する糞尿からメタンやアンモニアやリンを取り出し,メタンはコジェネで燃やして農家の電力に,さらに余った電力は電力会社が買い取ります。アンモニアやリンは分離して取り出したあと再配合して肥料に使われています。オーデンセでは回収した家庭ゴミを燃やした際に発生する熱を地域の温水や家庭の暖房に使い、エネルギーを地域に還元しています。このようにゴミを資源と見なし、ビジネスに利用しているデンマークの事情を本論文では扱っています。
Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?
この時デンマークに行ったのは日本のデンマーク事務所から招聘が来たためです。北海道経済団体連合会の環境エネルギー委員会の仕事の一環で行きました。地球温暖化がずっと叫ばれていますし、資源とエネルギーの有効活用をしようということですが、まだ温暖化について世間の認識があまりない頃から検討を始めていました。環境問題について訪問先や関係者との対話をアレンジしますのでぜひお越し下さいとのことで、現場だけではなくデンマークの環境庁や自治体の議会、風力発電設備の工場,あるいは地元住民とかなり突っ込んだ議論をしてきました。
Q:現在の研究について教えてください。
大学生の時から環境要因の変動が生物に及ぼす影響をメインとして、海洋環境生物学を研究していました。現在は主に地域の環境を対象に、地元住民が出す廃棄物が水に流れ込んだ時に水中の生物がどのような影響を受けるかということをテーマとしています。 小樽に住んでいますので,小樽を中心とした水域の環境変動と,その生物への影響がメインです。たとえば小樽を流れる勝内川や塩谷川では,1997年に商大に来て以来,水質の変動と水生生物への影響,たとえばサケ科魚類などの魚類や汚染指標生物のヒルの個体数の変動などを継続して調べています。また,小樽港や小樽運河の環境負荷を軽減するためには流れ込む河川の汚染を軽減しなければならないということで、地域の研究所や行政,あるいはゼミの学生と共同して,汚染の原因や川の自浄作用能力も調べています。
Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。
この論文は研究者でなくても一般の方に読んでいただくような書き方をしているので、興味のある人に読んでいただければ良いですね。
Q:Barrelについてご意見,感想をお願いします。
論文を書き終えた時はいいのですが、しばらくすると新しい知見や違った視点が見えてきます、こう書けばよかった、ここが足りなかったと思ったときに過去の論文を読み直すと恥ずかしいし、ずっとネット上に残るのは歯がゆい思いをしてしまいます。本と違いネットだと改訂できないですしね。特に環境問題はどんどん新しい研究がされて変わっていっています。読む方には日付と一緒に見ていただきたいです。 読んでくれている人、興味を持ってくれる人の顔が見えてこないという点はありますが、手軽に検索でき誰でも論文が読めるという点でBarrelは便利だと思いますよ。
--- 八木先生、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。
先生方のご協力のおかげで正式公開から約2年1ヶ月で登録論文数も3500編を越えました。ありがとうございました。3500編は先生方の御著作のほんの一部でしかありませんので,これからも先生方の研究成果の公開につとめていきたいと思っております。今後とも,ご著作をより多くの人々へ届けるため,論文等をBarrelへ寄贈いただきたくよろしくお願いいたします。
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