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4100件目記念インタビュー

Barrelの収録文献が平成23年12月21日に4100件を超えました!

4100件目の文献は,企業法学科の國武英生先生による,
國武, 英生 (2008) 1998年公益情報開示法をめぐる裁判例の動向と運用状況. 季刊労働法, 223: 163-172でした。

國武先生にお話を伺いました。

Q:登録4100件目の論文「1998年公益情報開示法をめぐる裁判例の動向と運用状況」は、どのような内容ですか?

 この論文は、内部告発者を保護するイギリスの公益情報開示法(The Public Interest Disclosure Act 1998)の運用状況について検討した論文です。日本においても、公益通報者の保護を目的とする公益通報者保護法が2006年から施行されています。じつは、わが国の公益通報者保護法は、イギリスの公益情報開示法をモデルにしたものです。モデルとしたイギリスにおいて、制定後10年でどのような論点が争われ、どのように評価されているのか、日本からみても参考になる点が多くありますので、この論文で検討しました。
 公益通報者保護法は一般的には、あまりなじみのない法律かもしれませんが、商大にも公益通報者保護規程がありホームページで公開していますし、最近ですとオリンパスの事件もあり注目されました。


Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?

 労働法を専門にしているのですが、大学院生のときに、イギリスで内部告発者を保護する法律が制定されたことを知ったのがこの研究のはじまりでした。会社に対する裏切りという側面もある内部告発という行為がなぜ保護されるのか、単純におもしろいとおもったのが研究のきっかけです。それ以来、内部告発者保護のあり方を研究テーマの1つとしてきました。イギリスの比較法研究を論文として公表した後に、日本でもイギリスをモデルとした公益通報者保護法が立法化されました。立法までの一連の流れを身近に感じられたのは、非常に刺激的で有意義な経験でした。ちなみに、日本の公益通報者保護法は施行から5年を経過し、見直しのための議論も行われています。少し古くなりましたが、日本の状況については別の論文で検討していますので、興味がある人はそちらを読んでください。


Q:現在の研究について教えてください。

 引き続き労働者の内部告発者保護のあり方の検討も行っていますが、現在は、誰に労働法が適用されるべきなのかという問題に研究のウェイトを置いています。わが国でも、就業形態が多様化してこれまでの基準が適合しない働き方が増えています。また、契約形式を請負契約、委任契約等といった類型に外観を変えることによって、労働関係法規の適用を免れようとするケースも見受けられます。こうした事象は世界各国で問題となっているのですが、法律はどのように対処すべきなのか、今研究しています。


Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。

 学術論文として書いているので、難しいところもあると思いますが、インターネット上で手軽に論文が入手できますので、少しでも興味があれば読んでみてほしいですね。内部告発という問題に限ってみても、様々な問題があることがわかると思います。


Q:Barrelについてご意見,感想をお願いします。

 Barrelは、研究の成果を広く世の中に公表できるいいシステムだと思います。Barrelで論文を公開していると、検索エンジンから知人が私の論文を見つけ、私がどのような研究をしているか初めて分かったと言われることもあります(笑)。よく書庫に入り浸っていますが、将来的には、そういうことをしなくてもいい時代がくるのかもしれませんね。Barrelがより充実していくことを期待しています。


recom. books 興味を持った方へ!...國武先生からのオススメ入門書


15歳のワークルール : 仕事につくとき、仕事をするとき、辞めるとき知っておきたい32のルール / 道幸哲也著. -- 旬報社, 2007

労働法入門 / 水町勇一郎著. -- 岩波書店, 2011. -- (岩波新書 ; 新赤版 1329)

新しい労働社会 : 雇用システムの再構築へ / 濱口桂一郎著. -- 岩波書店, 2009. -- (岩波新書 ; 新赤版 1194)


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