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4600件目インタビュー

平成26年1月7日に登録件数が4600件を突破しました。!

4600件目の文献は,アントレプレナーシップ専攻の小林敏彦先生による,小林, 敏彦 (2013) 平成25年度検定済新英語教科書の口語表現のオーセンティシティ検証と5つの緊急提言. 小樽商科大学人文研究,126:155-200でした。


小林先生にお話を伺いました。

Q:登録4600件目の論文「平成25年度検定済新英語教科書の口語表現のオーセンティシティ検証と5つの緊急提言」は、どのような内容ですか?

平成25年4月より新学習指導要領に変わり、中学校では教科書はそれほど変わっていませんが、高校においては科目名、教科書も大編成されました。この論文では、その教科書の中で使われている例文や対話文などに実際の生の英語表現がどの程度使用されているかを検証したものです。
私自身は今から20年くらい前に他大学の研究者と共同で当時全国の高校で使われた始めて間もない「オーラル・コミュニケーションA」の教科書を分析しました。そのときは依頼表現(request form)に特化して調べましたが、それがBarrelでも公開されている「高等学校用「オーラル・コミュニケーションA」教科書における依頼表現の特徴 : 談話分析の視点から」という論文です。ProfKobayashi

今回の研究は、今の高校1年から新カリキュラムが対応されているので、全ての学年の教科書も揃っておらず途上の状態ですが、現時点で使われている検定済の中学の教科書4種12冊と高校の教科書4種13冊の中に出ている例文や対話文を全て抜き出し、昨年出版した拙著『図解50の法則口語英語文法入門』(スクリーンプレイ)で解説した口語英文法の特定と類型化をまとめた口語英文法類型フレームワークを分析のツールとして活用しました。
よく会話体やくだけた英語などというのですが、くだけた英語とはどういったものかと分かりやすく纏めたものが今までなかったので、それが私の研究のきっかけとなりました。 分かりやすいように表にして、口語英語表現の特徴を全部で50に分けたのです。それはさらに「縮小」「拡張」「変換」に大まかに分けられます。
 この50の項目が実際に教科書にどれくらい現れるかを調査しました。そうすると実際に教科書に登場したのは50のうち24項目しかありませんでした。表現にしても、英語で言葉につまったときによく使われる”I mean.”は1冊しか出てきませんでしたし、”You know.”は1冊も掲載されていませんでした。日常的に使われている表現が教科書には抜け落ちていたのです。
 なぜこのタイミングで論文を書いたかというと、何もアクションを起こさずにいると今の学生が不利益を被ると思ったからです。教科書を書いている方に実際に影響を与えて注意を喚起するということが私のプロジェクトの趣旨ですので、この論文のPDFファイルを教科書の出版社や教科書の著者に送りました。
 教科書になぜ拘るかというと、現代の子どもは塾にいったり予備校に行ったりネットを利用したりと色々なリソースがありますが、特に首都圏以外では、学校以外に学習する機会に恵まれないことも多いので、やはり教室の中の先生の質と教科書の内容というのはとても重要だと考えているからです。私の経験でも留学したり洋画を観たりして生の英語に触れると、学校で習った英語とあまりにも違ったので、書き言葉と話し言葉は違うということをもっと学校で教える必要があると感じています。


Q:現在の研究について教えてください。


いまは教科書をはじめとする教材の、オーセンティシティ(真正性)について研究しています。私も最初はハワイ大学で3年間日本語を教えていたのですが、日本語の教科書も堅苦しい表現など変なところがありましたが、アメリカで日本語を教えている人はほとんどが日本語の母語話者なので教えながら教材の中の不自然な表現に気づくのです。
しかし、日本で英語を教えているのは小学校から考えると9割以上が多分日本人なので教科書で変なところがあっても先生自身はなかなか気づきません。私の著書『図解50の法則口語英語文法入門』は副題(すべての英語教師・英語学習者必読)にもありますが、まずは学校の先生の方に読んでいただきたいのです。学校の先生が、まずは自分が教えている教材が正しいかどうかを理解していただきたいと思っています。本学の教員養成の講義では「英語科教育法III(教材開発論)」を担当していて、本学出版会から出版した『英語リスニングの教材開発』を教科書として使用し、そのなかで『図解50の法則口語英語文法入門』も考慮したうえでの英語教材開発論を教えています。この研究については昨年、韓国、台湾、ネパールの言語学会でも発表してきました。


Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。

まず現場で教えている教員の方、次に教員養成課程の学生、更に大学生です。
『図解50の法則口語英語文法入門』の帯に” Ain't got no gal to make you smile”と書いていますが、「Don’t worry, be happy」という曲の一節です。例えば、洋楽が好きな学生に先生がこの歌詞はどういう意味ですか?と質問されたら、答えられるでしょうか。先生方にも洋楽や洋画に親しんでいただきたいと思いますし、教科書執筆者の方にはこの論文や『図解50の法則口語英語文法入門』に書かれているような生の英語を伝えっていってほしいです。また教員養成課程の学生にはナチュラルな口語英語をもっと知ってほしいと思いますし、現役の学生たちには、この論文や『図解50の法則口語英語文法入門』で勉強することによって映画などをより興味を持って観ていただきたいです。



Q:Barrelについてご意見、感想をお願いします。

Barrelは論文だけではなく、講義資料をもっと登録するとよいのではないでしょうか。資料を印刷して配布する手間も省けますし、学会の資料も、参加できなかった人からの需要があるはずですので、PDF化にして登録するのは喜ばれると思います。
また、講義を何らかの理由で欠席した学生にとって、講義資料がBarrelで登録されていると大変助かると思います。e-learningは受講している学生しか利用できないので、公開しても差し支えないものはBarrelに集約して登録してはどうかと思います。可能でしたら画像や音声ファイルも登録できるようになると録画した講義も発信できますので便利ですが技術的には難しいでしょうか。更新情報も大学のホームページのトップページに掲載すると目を引くと思います。またBarrelを利用した学生の体験談をコラムとして掲載してはどうでしょうか。Barrelはさまざまな可能性を秘めていると思います。




4600-1『口語英文法入門 : 図解50の法則 = Introduction to Colloquial English Grammar』

4600-2検証に使用された中高の新英語教科書25冊

4600-3『口語英文法入門 : 図解50の法則 = Introduction to Colloquial English Grammar』の帯



※下記は口語英文法類型フレームワーク(CEGTypology Framework)
4600-4


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小林先生、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。


先生方のご協力のおかげ登録論文数も4600編を越えました。ありがとうございました。4600編は先生方の御著作のほんの一部でしかありませんので,これからも先生方の研究成果の公開につとめていきたいと思っております。今後とも,ご著作をより多くの人々へ届けるため,論文等をBarrelへ寄贈いただきたくよろしくお願いいたします。