Barrelの収録文献が平成20年5月1日に600件を超えました!
600件目の文献は,アントレナーシップ専攻の松尾睦先生による,
松尾, 睦 (2002) 組織内部の競争と協調がイノベーションに及ぼす影響 : 営業部門の実証研究. 『日本経営学会誌』8号, pp54-65
でした。
松尾先生にお話を伺いました。
Q:登録600件目の論文「組織内部の競争と協調がイノベーションに及ぼす影響 : 営業部門の実証研究」は,どのような内容ですか?
もともと競争,切磋琢磨という言葉が好きなんです。ぬるま湯につかりたくない。でも組織内で足の引っ張り合いをしてもしょうがない。どうしたら前向きでイノベーティブな競争をデザインできるかといったことに関心があります。
イノベーションには,商品開発や営業活動の中の新しい売り方といった技術的イノベーションと,組織の管理,評価の仕方,権限の委譲といった管理的イノベーションがあります。この論文は,組織の業績向上には両方が不可欠で関連していることを実証したものです。
Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?
商大を卒業してから2年間ほど,製薬会社で営業を担当しました。その後,大学院で社会心理学を学び,シンクタンクでマーケティングの研究をしましたが,研究を進めていくと,営業活動と組織内部の研究が,とても面白い分野であることに気づきました。
Q:現在の研究について教えてください。
大きく2つの研究テーマがあります。一つは,組織内部の競争についてです。組織の中で,メンバー同士が競争,協力しあって,新しい営業の仕方,アイデアが生まれてきたり,その結果組織の業績が向上するには,どのようにしたらよいのかといったことを中心に研究しています。
もう一つは,プロフェッショナルといわれる人材が,経験からどのように学んでいるかというテーマです。
Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。
まずは研究者に読んでもらいたいです。経営コンサルタントなど,吸収能力がある人がエッセンスをつかんで,現場の人に紹介してくれる橋渡し的なことをされている方がいらっしゃいますが,そのような方にも読んでもらえたら嬉しいですね。現場に生かしてほしくて研究するのですから。
Q:Barrelについてご意見,感想をお願いします。
学会誌などは狭い世界で流通しているものですので,そういったものの間口が広くなるということについて有意義だと思います。
Google Scholarを使っていますが,大学が提供しているPDFファイルが見つかると図書館で文献複写を依頼して待たなくてすむので嬉しい。そういう意味でも Barrelは本当に手軽で便利だと思います。
また,アントレプレナーシップ専攻会議でされたBarrelの説明を聞いて,感心しました。小樽商大にこんなチカラがあったのか,ということと,それから,ナレッジ・オフィサー(組織レベルで組織的知識創造を全体的にマネージ する役割を持つ)という言葉がありますが,まさにBarrelチームが果たしている役割だと思います。学会,出版社への連絡,登録作業全般を行ってくれるのがとても助かります。
今後は,よりBarrelが活用されるよう,機能面が強化され,登録文献がもっと増えることを期待します。
興味を持った方へ!...松尾先生からのオススメ入門書
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松尾先生,お忙しいなか,貴重なお話ありがとうございました。
(※松尾先生は「商大君がいく!」の「おすすめの本」コーナーのコーディネータをされていて,必要な情報を収集,発信するという意味で,「商大君」とBarrelは同じような役割を果たしていますねとおっしゃっていただきました。)
先生方のご協力のおかげで正式公開から約2ヶ月で600件に達しました。ありがとうございました。600編は先生方の御著作のほんの一部でしかありませんので,これからも先生方の研究成果の公開につとめていきたいと思っております。今後とも,ご著作をより多くの人々へ届けるため,論文等をBarrelへ寄贈いただきたくよろしくお願いいたします。