Barrelの収録文献が平成22年1月12日に3300件を超えました!
3300件目の文献は,経済学科の寺坂崇宏先生による,
寺坂, 崇宏 (2009) Box-Cox変数変換を含む多変量ARMAモデルとその応用について. 商学討究, 60(2/3): 121-130でした。
寺坂先生にお話を伺いました。
Q:登録3300件目の論文「Box-Cox変数変換を含む多変量ARMAモデルとその応用について」は、どのような内容ですか?
この論文は、これまでの研究成果の一部について、以前の論文とは違う方法を用いて再検討したものです。私の専攻している計量経済学では、経済変数間の理論的な関係を、観測されたデータを用いて検証することをします。例えば、私たちの所得が増えたらどれだけ消費が伸びるのかといった関係をデータから調べたりします。このような分析をするときに、変数そのものの値を使わないで、変換をしてから分析をすることがあります。Box-Cox変換というのもこのような変換の1つで、基本的に平方根や対数の変換などを一般に含む変換です。論文では、この変換と計量経済学で良く知られているARMAモデルと呼ばれるモデルとを組み合わせたモデルを用いて、データ分析をしています。
Q:この研究をはじめられたきっかけは何ですか?
Box-Cox変数変換とARMAモデルを組み合わせる研究については、大学院博士課程の頃から進めていますが、推定が十分に成功するプログラムをつくるのに随分時間がかかったり、計量経済学的に難しい問題も出てきたりして、研究に時間がかかっています。
Q:現在の研究について教えてください。
現在も引き続き、Box-Cox変換と計量経済モデルを組み合わせて、経済の実証分析の研究を行っています。
Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか。
経済統計学や計量経済学の勉強を始めた方や、変数変換について興味を持った方に読んでいただければと思います。
Q:Barrelについてご意見,感想をお願いします。
Barrelについてというより、一般的な話になるのですが、今年、卒論を指導した学生が、他大学のリポジトリ(Barrelのようなシステム)から論文を発見して卒論の参考にしていました。論文というのはどういうものかを学生に説明する際にも、こういったサイトのお蔭で非常に指導しやすくなったと思います。学生にとって論文そのものは難しいのですが、アブストラクトや序論を読ませて、それについて説明を加えるだけでも随分勉強になったのではないかと思います。
また、他大学のリポジトリで、専門分野の第1線で研究されている先生が、その分野で今後どういうことがトピックとなるか、今どういうことが研究対象になっているのかいう概観や見通しなどを述べられている論文を発見することがあり、自分にとって有意義であると感じています。
Barrelについては、利用統計を拝見すると、他の先生方の論文の利用状況が非常に多くて驚くことがあります。
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寺坂先生、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。
先生方のご協力のおかげで正式公開から約1年10ヶ月余りで登録論文数も3300編を越えました。ありがとうございました。3300編は先生方の御著作のほんの一部でしかありませんので,これからも先生方の研究成果の公開につとめていきたいと思っております。今後とも,ご著作をより多くの人々へ届けるため,論文等をBarrelへ寄贈いただきたくよろしくお願いいたします。