登録記念インタビュー

Barrel登録を記念して、2010年4月に小樽商科大学に赴任された商学科の加藤敬太先生にお話を伺いました。


MrKatoQ:商大の印象はどうですか?

 まずは、伝統がある、というイメージですね。老舗企業のように変わらない良さがあるように思います。また、学生が元気ですね。道外から来た私から見ると、道内の学生の元気さは凄いです。


Q:先生の研究内容について教えてください。

 専門は、経営学ですが、とくに企業の経営戦略に関心があります。これまで行ってきた具体的な研究は、100年200年と続いている老舗企業がなぜ長期的に存続が可能であったのか、フィールドワークや史(資)料集めをしながら研究しています。長く続く企業がどういう経営戦略をとってきたのかを考察する、かなり珍しい分野なのではないかと思います。
例をあげると、愛知県岡崎の八丁味噌の老舗2社「まるや」と「カクキュー」はイノベーションを起こさず、古典的なやり方を守ることで300年も続いています。なぜ変わらないことでやってこられたのか、それは現代に新たな可能性を与えてくれる問題かもしれません。
逆に「清洲城 信長 鬼ころし」という紙パックの清酒によって有名になった「清洲桜醸造」は、紙パック製品の開発というイノベーションを起こし、伝統を打破して、30倍もの大手メーカーに成長しました。また、食酢で有名な「ミツカン」も、多角的な経営と撤退を繰り返すことで200年続き、今や世界的に有名な企業に成長しました。「超酢作戦」といって、酢以外の製品も造り今では総合食品メーカーといえますし、またアメリカでもトップメーカーとなっているほどの国際的な企業です。


Q:ご担当の講義について教えてください。

 前期は、「経営学原理Ⅰ」を担当しています。8割が1年生なので「株式会社とは何か」「経営って何か」といった基礎的なことから教えています。
 後期は学部の「経営学原理Ⅱ」、大学院の「経営組織論」を担当する予定です。経営学というのは、みなさんお金儲けの利益追求のための学問と思っているでしょうが、実はそうではなく何より人の営みに重点を置いた極めて実践的な学問です。皆様にとって、一番身近な学問といえるかもしれません。
このような経営学の魅力を、多くの学生さん達に伝えたいですね。


Q:Barrelと図書館に期待すること、要望などについて聞かせてください。

機関リポジトリのシステムは近年盛んになってきていますが、Barrelのような充実したシステムには大変驚きました。研究者にとっては、大変心強いシステムです。とくに論文を過去に遡って登録し、誰でも読めるようにしてくれるのは素晴らしいですね。是非今後も発展していってほしいです。
また、商大の場合は、大学ホームページから直接Barrelのページに行けるのがとてもいいですね。学生が手軽に教員の論文を読んでみることができるので。学生の皆様には、大いに教員の論文に触れて、教員の研究について知識を深めて欲しいと思います。


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加藤先生、お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。


これからも附属図書館では、先生方の研究成果の公開につとめていきたいと思っております。今後とも、ご著作をより多くの人々へ届けるため、論文等をBarrelへ寄贈いただきたくよろしくお願いいたします。