平成27年4月17日に登録件数が4800件を突破しました!
4800件目の文献は、企業法学科の坂東雄介先生による、
坂東, 雄介 (2015) 『国籍の役割と国民の範囲-アメリカ合衆国における「市民権」の検討を通じて(7・完)』.北大法学論集,65(6):139-187でした。
坂東先生にお話を伺いました。
Q:登録4800件目の論文『国籍の役割と国民の範囲-アメリカ合衆国における「市民権」の検討を通じて(7・完)』は、どのような内容ですか?
私の研究は柱が二つありまして、「国籍の役割とは何か」と、「国民の範囲はどのように設定されるのか」ということです。日本国憲法で言うと、第10条で「日本国民の要件」に当たる意味内容ですね。
「国 民の範囲設定」というのも大きく分けると二つあって、一つは帰化法とか国籍法に関する話(直接的)で、もう一つは出入国管理(間接的)です。例えば、日本に来てずっと生活する、日本に帰化しようか、と考えた場合、日本に来るか来ないか(出入国;ボーダーコントロール)の問題があります。これは間接的な意味 における国民の範囲を設定する話でもあります。国民の範囲というのは帰化法や国籍法の問題でもあり、かつ同時に出入国管理など、そういったボーダーコントロールの問題でもあるということです。
アメリカとの対比の中で、日本が置かれている状況、日本法との違いや共通するところはどういうところなの か。日本の国籍法や帰化法、出入国管理法も様々な国の規定を参考にしながら作られましたし、その影響を受けています。では、その中でアメリカの影響はどういうものだったのか、ということですね。
Q:この研究を始められたきっかけは何ですか?
研究しようとしたテーマはいくつかありましたが、当時の指導教官に相談した結果「これでいいんじゃない?」で始まりましたね。(笑)
も ともと興味があったということもあると思いますが、国民の範囲やボーダーコントロールの問題を考えたり、そこから関連して植民地の問題があったりします。植民地はその国の領土ではあるがメインの領土ではなく、そこに住んでいる人たちは、国家の構成員ではあるが国籍を持っていません。外国人か?と問われると 微妙なラインで、国民であることと外国人であることの中間的なポジションがあります。こういった不透明なところを解明していくのが意外と面白いですね。
Q:現在の研究や、今度の目標などについて差し支えなければご紹介ください。
今回登録された論文はアメリカに視点を置いたものですが、現在は視点をオーストラリアに変えて研究をしています。同時進行で、日本の外国人の法的立場も研究しています。
今度、取り組みたいテーマは、日本の出入国管理法や入管法ですね。制度はあってもそれが機能しているか、どう実行してどんな制度を作ればいいのか、他の国の事例を参考に考えていきたいですね。
Q:Barrelに掲載された文献をどのような人に読んでもらいたいですか?
学術論文なので一般の方が読むのは難しいかな…。もちろん法制度等に興味がある人には是非、読んでほしいですね。
私は法律学が専門ですが、社会学とか政治学とかそういうところからも「ちょっと小難しそうだけど読んでみるか」と思ってもらえて、そういう方に読んでほしいですね。
Q:Barrelについてご意見、ご感想があればお願いします。
本学の出版物に限らず、他大学や外部の出版物に掲載された論文、Webページ等では公開されていないものも登録されているのはとてもいいことだと思いますし、私自身も他の先生方の論文をダウンロードして参考にしています。
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